国連教育科学文化機関(ユネスコ)が「マグネティック・テープ・アラート」として「2025年頃までに磁気テープに記録された映像などをデジタル化しないと永遠に失われる可能性がある」と警告したのが事の発端であるようです。
聞きようによっては強引にデジタル化させようと、まるで怪しい通販の宣伝文句のようにも聞こえますが、理由としてはテープの劣化やデッキの生産終了・保守パーツの供給終了などがあります。
このような事情によりVHSからDVDへの変換サービスを行っている事業者には依頼が殺到しているそうです。当店が外注作業を依頼している富士フイルムのラボさんからも納期延長のお知らせが来ました。

※諸事情により現在は当店ではお取り扱いしていません。
しかし品質や保管状態にもよりますが、一般的にはCDやDVDのような光学ディスクのほうが磁気テープより寿命が短いとされています。それにソニーなど大手企業が続々光記録メディアの生産から撤退していますし、技術レベルでは最高峰といわれ業務用としてはこれ一択だった太陽誘電なんかはすでに「想定を超える市場の縮小」などを理由に2015年末に光記録メディア事業から撤退しています。
スマートフォンやクラウドの普及により在宅で仕事にでも使うのでなければ、一般家庭にパソコンは1台もないのが普通のようですし、今DVDにしたとしてもそのディスクが寿命を迎える頃には再生機器も激減していると思われ結局いたちごっこのような気がします。
お客様からも、後世に残したいような大事なデータはなにに記録して保存するのがいいの?と聞かれることが多々ありますが、光学ディスク・ハードディスク・クラウドなど可能な限り複数の物に保存するのがいいでしょうね。パソコンがなくなることは近々ではないでしょうから複数の外付けHDDが最強でしょうか。VHSからDVDを作ったら、DVDから別媒体へのコピーをしておくことをおすすめします。
関係するお話ですが、以前に富士フイルムのラボさんから通達がありお客様からお預かりする磁気テープのうち、3割くらいはカビが生えているので受付時にカビ取りクリーニングは別途費用が発生することのお知らせを徹底してほしいと。その後、カビがある場合は有料で作業を進行するか返却するかを受付表にサインしていただく方法に変更になりました。
磁気テープは段ボールに入れて押入れの奥に長期間入れておくと高確率でカビが生えます。またデジタル物といえど、CDやDVDなどのディスクも直射日光・高温多湿を避け「立てて」保管が基本です。
ついでに同じく関係するお話ですが、店には自分でテレビを録画したVHSテープや映画などの市販のVHSビデオをDVDにしてほしいと持って来る方、実は意外と多いんです。
テレビを録画して自分でダビングして自分だけで視聴するのは問題ありませんが、他人や事業者(そもそも受け付けてくれません)に頼んでダビングするのは著作権法違反になるのでアウトです。
以前、映画のVHSをたくさん持ってきて当店にダビングを頼みたかったそうなのですが、事情をお話しして丁重にお断りしたら「細かいことうるさいんだね」と帰られた方がいらっしゃいましたが、法律違反ですので細かい細かくないの問題ではありません。
以上零細写真店のぼやきでした(-_-)。
